IT業界では、オフショア開発がコスト削減やリソース確保の有効な手段として広く活用されています。当社では、数年前からベトナムでのオフショア開発を積極的に活用してきました。今回は、これまでの経験を通じたメリットと、昨今の円安がもたらす影響についてご紹介します。
ベトナムオフショア開発のメリット
- 優秀な技術者の存在
ベトナムには、優れたITスキルを持つ技術者が多く存在します。特に、プログラミングやソフトウェア設計の分野では国際的な基準に基づく高品質な成果を期待できます。また、近年はIT教育が充実しており、新しい技術に精通した若い世代も急増しています。
新しい技術に対しても貪欲に学んでいるのには驚かされます。 - コスト競争力
日本国内で開発する場合と比較して、ベトナムの開発費用は大幅に抑えられます。このコストパフォーマンスの良さが、多くの日本企業にとって大きな魅力となっています。
日本人と比べてコミュニケーションコストは若干高くなるものの、それ以上のコストメリットはあります。 - 柔軟な働き方と納期対応
ベトナムの開発チームは、柔軟性が高い点も特徴です。プロジェクトのスケジュール変更やタイトな納期にも、柔軟に対応する姿勢が見られます。 - 時差が少ない
日本とベトナムの時差は2時間ですので、オフショア開発において比較的スムーズなコミュニケーションを可能にする利点といえます。 - 祝祭日が少ない
日本に比べて祝祭日が少ないので、日本の祝祭日前に開発依頼をしておくと、休日明けには仕上がっているといったように、休みの間に仕事が片付くのは嬉しいですね。日本の正月の間も元旦以外は通常営業ですので、年末にオーダーしていたのが年始には仕上がります。
テト(旧正月)は長期休暇になりますので、その間は開発は止まりますが事前にスケジューリングしておけば全く問題はありません。
課題とその解決策
- 日本語でのコミュニケーションの壁
技術面では非常に優秀なベトナムの技術者ですが、日本語でのコミュニケーションには一定のハードルがありました。しかし、以下の工夫を取り入れることでスムーズな連携を実現しています:
チャットツール:ラフな会話でのやり取りで心理的障壁を下げる。
翻訳ツールの活用:Google翻訳やDeepLなどの高精度翻訳ツールを積極的に利用。
シンプルな日本語での指示:専門用語を簡略化し、具体的で明確な指示を心がける。
週次ミーティング:ZoomやSlackを利用した定期的なオンライン会議を実施し、進捗確認と相互理解を深める。
画像や動画の活用:画像で指示出しをしたり、動画で挙動を伝えることで状況理解が進む。
- 文化的なギャップ
日本独特の業務慣習(例:報連相の重要性)については、事前に丁寧な説明を行うことでギャップを縮めました。
為替レート、円安の影響
しかし、昨今の円安は、このようなオフショア開発の魅力を一部損なう要因となっています。為替レートの変動により、開発コストが想定以上に増加するケースが見られるようになりました。
具体的な影響としては開発費の上昇が厳しくなっています。円安により支払いが割高になっていますし、さらにベトナム国内の人件費も高騰しているので開発コストが日本とあまり変わらない状況になっています。
今後の対策
固定為替契約の活用:為替リスクを抑えるために、固定為替レートを適用した契約を検討。
国内リソースの見直し:国内開発とのバランスを再評価し、最適なリソース配分を目指す。
付加価値の向上:コスト上昇分を補うため、プロジェクト全体の付加価値を高める努力を継続。
まとめ
ベトナムオフショア開発は、これまで多くのメリットをもたらしてくれましたが、円安という新たな課題にも直面しています。それでも、適切な工夫や戦略を通じて、引き続き高品質かつ効率的なシステム開発を実現できると確信しています。今後も変化する経済状況に柔軟に対応しつつ、お客様に最善のサービスを提供してまいります。